鉛の感情

９

「ああ、情報がほとんどないんだ。繁華街だから目撃情報も多いと思ったんだが、何せ撃たれた場所が悪かった」

「繁華街の込み入った場所ですもんね。土地勘がある人のような気がしますけど」

　カウンターの掃除を終えて、八坂はグラスに氷とウイスキーを入れた。それを軽くマドラーで混ぜた後、狭間の前に差し出す。狭間はそれを一気に飲み干すと、大きくため息をついた。

「後からキャストの子たちに聞いてみますよ。何か知っている子がいるかもしれないですし」

「ああ、よろしく頼むよ」

　狭間は軽く手を挙げた後、店を後にした。外には三人の若衆が狭間の帰りを待っていた。