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「なんか仕入れたか?」  三人とも俯きながら首を横に振った。狭間は頭を掻きむしった後に煙草を口にくわえる。三人が慌てて火を準備する。 「要らねえよ。俺はもう少し回る。お前らは先に帰ってろ」 「いや、俺たちもお伴します。まだ事件の熱りも冷めてませんから」  狭間はその言葉を聞かぬまま、小道へと入っていった。若衆たちはその背中を目で追うことしかできなかった。  繁華街の路地裏にはゴミが大量に捨てられていた。アメリカのスラム街のような雰囲気。煌びやかな繁華街を一寸外れれば、そこは腐乱した匂いの漂うアンダーグラウンドな世界。ネオンの光も入り込まない中には人の気配すら感じなかった。
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