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 おぼつかない手つきで完成させたとは思えないほど花束は見事なものだった。その中心には綺麗な白い花が咲いている。薄ピンク色の桜ではないことに少しばかり申し訳なさを覚えたが、桜であればきっと川島は許してくれるだろう。そう思いながら狭間は爽やかな笑顔を残して店を後にした。  川島が撃たれた現場に着くと、その場に似合わない花束が何束も置かれていた。狭間はその端に自分の献花を供える。そして祈るように手を合わせた。目を瞑るとこれまで川島と交わした言葉や思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡る。一筋の涙が頬を伝っていくのがわかった。その涙を拭うことなく狭間はしばらくの間、川島を想って黙祷を捧げていた。 「おや、狭間さんじゃないですか」  背中から聞こえてきた声に思わず、狭間は振り返る。そこにはサジの姿があった。白が基調の献花を手に持っていた。 「ああ、サジさんか」  頬を伝う涙を拭った後、目を必死にこする。狭間の目は赤く充血していた。ひどく泣いている姿を見られたくはなかったが、こればかりは仕方なかった。
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