6/7

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/397ページ
「ありがとな。でも心配はいらねえよ。俺はそんなに柔じゃない」  狭間は悠太に背を向けながら、否定するように手を大げさに振る。 「あ、あとよ。生ゴミとかちゃんと処理しろよ。この部屋、弁当の匂いが充満してやがる」  台所のシンクには弁当の空が無造作に投げ捨てられていた。意識して呼吸すると、確かに食べ物の匂いが少しばかり感じられた。しかしそれは悠太にとって気にするほどの匂いではない。 「あ、すいません。片付けてませんでした」  特段片付けようという気もないが、狭間の背中に向けて悠太はとりあえず頭を下げる。狭間はその声を背中で受けたままドアノブに手をかけた。
/397ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加