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「何にするんだい?」 「コーヒーを一杯。あと、何か食べ物を欲しいんだが」  サジは隣のテーブルから日焼けしたメニューを持ってきた。狭間はそれを悠太の前に広げてみせる。そこには悠太の知らないカタカナが並んでいた。そのカタカナと値段しか書いていないメニューを見て、悠太は答えを返せずにいた。 「遠慮しなくていいぞ?」  狭間の言葉に悠太は慌てて適当な文字を指差した。そこにはオムライスという文字が掠れ気味に書かれていた。 「よし。じゃあオムライスを一つ」  サジは業務的に会釈を返し、そのまま裏手にある調理場へと姿を消した。店内にはまた沈黙が訪れる。その沈黙を破ったのは埃のかぶった小さなスピーカーから流れるジャズミュージックだった。
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