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「この丸いやつをな、右に回すんだ」  悠太の右手に見える持ち手をよく見ると突起がついていて、赤く染められていた。悠太は直感でかっこいい形だと心を躍らせる。  狭間に促されるまま、右方向に持ち手を回す。すると小さな銀の玉が弾かれながらパチンコ台の中を走り回った。ものすごいスピードで放たれる銀の玉を見て、悠太は興奮していた。 「悠太くん、この玉を下にある穴に入れるんだよ」  狭間は悠太の手を包み込むようにして持ち手を掴み、玉の力加減を調節した。先ほどとは違い、緩やかなスピードで放たれる玉はチェッカーに吸い込まれていく。すると真ん中にある小さな画面に数字が回った。 「同じ数字が揃えば当たりだ」 「当たるとどうなるの?」  悠太の声は喧騒の中に消え、狭間の耳に届かなかった。淋しさを感じながらも悠太は画面で激しく回る色鮮やかな数字に目線を戻す。すると七が最初に止まった。続けてまた七が止まる。
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