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「おい、悠太くんいい感じだぞ」  狭間は悠太の二の腕を当たるようにと願いを込めて摩った。もう一つ七が止まれば当たる瞬間を見られる。悠太はそれだけを待ち望んでいた。  数字はゆっくりとした動きに変わる。五が緩やかに目の前から通り過ぎる。そして次に六が目の前で上下に動き始めた。止まりそうで止まらない。その演出を食い入るように見つめる狭間の左手は悠太の左腕を強く握りしめていた。  その時、六が勢いよく下に弾かれて七が停止した。それと同時に大音量で音楽が鳴り、パチンコ台が強く光り始める。まるで稲光のようだった。 「やったぞ、悠太くん! 大当たりだ!」  狭間は悠太の脇に両手を入れて、小さくその体を胴上げした。狭間の喜んでいる姿を見て、悠太は誇らしく胸を張っていた。
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