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 下の受け皿にどんどんと銀の玉が流れ込んでくる。狭間はこの銀の玉が一個ずつお金になるのだと悠太に教えた。すると急にその玉が、たくさんの銀貨に見え始める。悠太はずっと玉が出て欲しいと心から祈っていた。結果としてその後は何度も当たりを引き、パチンコ屋を出る頃には狭間の財布が大きく膨らんでいた。 「ほい、これ食べていいぞ」  黒塗りのセダンに乗り込んだ時、狭間は悠太に一つのパンを差し出した。それは甘口のカレーが入ったものだった。 「いいの?」 「おう、当たりを引いてくれたお礼だ」  街中のネオンを浴びて狭間の顔は様々な色に染められていた。その中で浮かべる満足そうな笑み。いつの間にか悠太は狭間が笑うと自分も嬉しいという感情を抱くようになった。
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