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 しかし狭間が訪れるようになってから家のものがどんどんと無くなっていき、生活は面白みを失っていく。  最初に父が大切にしていた掛け軸が消え、次にテレビが消え、その次にエアコンが消えた。最終的に冷蔵庫までも無くなった時はさすがの悠太も違和感を覚えずにはいられなかった。  それが狭間によって売られていたと明確に知ったのは中学一年の夏だった。  悠太が学校を終えて、家に帰ると入り口付近で狭間が煙草を吸っていた。灰色のダブルスーツに身を包んだ、その姿を拝むのは暫く振りだった。悠太の存在を捉えると狭間は陽気に手を挙げた。 「よう」  悠太は小さく会釈する。 「お、ついに中学に上がったか。おめでとう」  そう言って、悠太の元に狭間は歩み寄る。そして煙草を口に加えたまま、右手を差し出した。不思議に思いながらも悠太はその手をしっかりと握る。狭間は握手で悠太の成長を讃えていた。
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