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「今まで悠太くんに嘘ついてたんだ」  悠太は少しだけ嘘の内容を聞きたくはない感情に苛まれた。知りたくはない真実が大口を開けて襲ってくる。そんな気がしたのだ。 「俺、悠太くんの親父から金返してもらってんだ」  公園で煙草を蒸かしながら、狭間はやけに思い詰めたような表情で悠太にそう告げた。友達という関係性を疑い始めた日から五年ほど経っていた。  成長するにつれて悠太は狭間と父の関係が友人ではないことを薄々察していた。しかし悠太にとって、その友人以外の関係性とは何かを断定出来ずにいた。  まさか金銭面での関係だったとは思わなかった。いや、思いたくなかっただけかもしれない。朧げにその可能性があることをわかってはいた。だが、急に現実を突きつけられると心は少しばかり闇へと揺らぐものである。
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