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 そうであるならば、銃の扱いにも長けている者の行為だ。一般人には銃を扱う技術もなければ、知識も度胸もない。それに、川島は南栄町の裏路地で殺された。犯人はこの街の土地勘もある。  近隣の対立組織による犯行の可能性が高いと、狭間は踏んでいた。しかし、その組がどこの組かは皆目見当もつかない。それに大規模な抗争を起こせば清住会からも逮捕者が出てしまう上、会長である清住の命までも危険に晒してしまう。明確にどこの組が仕掛けてきたかわかればすぐ動けるが、現状のままで行動すれば壊滅的な損害を被る可能性が高かった。  次に相手がどう動くのかを警戒しながら、時が満ちた際に打ち合うしかない。狭間は組の方針としてその姿勢を崩さぬこととした。  もし清住会を壊滅状態に追い込む気があるのならば、必ず事務所に仕掛けて来る。その前に何とかして相手の出方を伺い、先手を取る。その方法が現段階で最も被害の少ない戦法であると狭間は睨んでいた。
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