鉛の感情

４

「本家の警戒態勢はどうなってる？」

「サツはもう二十人くらいが本家の周りを囲んでいるようです。近隣には若衆が総出で警戒しているかと」

　昨今、暴力団の活動には逐一警察の警戒態勢が厳しく敷かれるようになった。以前はマスコミが多数を占める中に警察が何人かという態勢であったが、今はそういかない。

　葬儀場も警察の目を気にして会場を暴力団に貸し出すことを禁止し、いつからか葬儀は本家で執り行うようになっていた。

　本家に着くと、マスコミと警察が網目のように隈なく周りを囲んでいた。その中をかき分けるようにして進んでいく。狭間に向けてマスコミのカメラマン達が群がって写真を撮り、絶え間なくフラッシュが炊かれている。

　会場には川島の遺影が小さく儚げに飾られていた。狭間は清住の隣へ静かに座った。