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「もう潮時だな」  白く濃い煙を吐き出しながら清住は言った。 「どういうことですか?」 「お前に後を譲るということだ。儂はもう手も足もよく動かん。この状態でヤクザは務まらんからな。兄弟の骨が墓に入って、少し落ち着いたら継承式を執り行う」  狭間は長く伸び始めていた灰を落とした。 「会長、まだ叔父貴の仇すら打ってねえ。それが片付いてからでも遅くはないです。考え直してください」 「そんなことはない。仇を打つのは儂ではないからな。天誅を下すのはお前らだ。それはお前が会長の座に就いたところで変わらないだろう。それともお前は儂の盃をもらえねえということか?」  清住は狭間の目を見た。鋭い眼光はレーザー光線のように狭間の黒目を焼き尽くしていく。狭間の震えは増していくばかりだった。
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