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「はい、コーヒーね」 「ありがとうございます」  サジはすぐに踵を返し、裏へ戻ろうとした。 「あ、あの狭間さん最近来てますか?」 「狭間さんは最近来てないな。仕事が忙しいみたいだね」  とぼけたような表情を浮かべているサジに悠太は妙な引っかかりを覚えた。 「そうですか。ところでこのお店って夜もやってるんですか?」 「いや、夜は開けてないよ。うちはモーニングから夕方までしかやってないんだ」 「この前、夜の九時頃にお店の近くを通ったら明かりが点いていたので、夜もやっているのかと思ってました」  悠太は頭を掻きながら笑った。それに対してサジも笑顔を返す。 「ああ、月末だから棚卸しをやってたんだ。店を早仕舞いしてもなかなか終わらないんだよ」  確かにあの日は月末だった。棚卸しをしていたのならば店の電気がついていても仕方ない。
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