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「狭間さんは悠太くんにヤクザだと知られたくはなかったみたいだ。いつも俺のことを詳しく話すなよと釘を刺されていたよ」
「そうだったんですか。借金取りの仕事をしていると聞いていましたけど」
サジは煙を吐き出しながら、豪快に笑った。
「同じようなもんだけどね。悠太くんはヤクザにどんなイメージを抱いている?」
「暴力を振るったり、違法なことをやっているとか。まあいいイメージはないですね」
灰皿に火種の消えた煙草が押し付けられる。燻されたような匂いが悠太の鼻先を襲った。
「そうだね。一般的に融資してくれる金融機関は一定の範囲内で利息をつけて貸付を行う。でも相手がヤクザならば話は変わってくるんだ。法外な利息をつけて、返せなければ暴力を振るってでも金を返させる。それには違法性がある気がするね」
悠太は唇を噛みながら、頷く。
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