5/12

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/397ページ
「本当に助けていただけるのですか?」  悠太は動揺した。その助けていただけるのですか、という言葉と、あまりにも穏やかな笑顔の裏側には何かが隠れているような気がしたのだ。 「とにかくお店の品物は僕が買います」  白く、細い女の腕を優しく掴んで店内に引き返す。気味の悪い女と出会してしまった。だが、これで終わってしまえば問題はない。悠太は事を荒立てずに済ませ、いち早くこの場を去りたいという気持ちに駆られていた。  女は店内に戻り、カップラーメンの棚がある場所で鞄を置いた。やけに重量感のある音が床から伝わる。 「本当にありがとうございます。助かります」  そう言いながら女は悪怯れることもなく、淡々と鞄からカゴへ品物を戻した。店員の目も気にせずカゴへ戻す姿を見て、悠太は思わず女を囲み、周りからの視線を防いだ。
/397ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加