ぼくのおしごと

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 僕は純粋な男だと思う。   「将来の夢は警察官になる事です」と小学生の頃から作文にしていた程、僕は刑事に憧れていた。きっかけは毎週水曜20時に放送していたテレビドラマ。主役の大物俳優が次々に事件を解決していく、そんな様が非常に格好良く見えたものだった。  時には殺人犯を、ある時は誘拐犯を追い詰め、さらには凶悪犯たちとの大立ち回り。演出や俳優達の演技力も相まって、見ごたえのある内容だったと記憶している。  目を輝かせていた子供時代から思春期も過ぎ、徐々に現実味を帯びてきた頃。僕の価値観は一変した。  勧善懲悪の作品ばかり触れていた頃の僕に取って、悪役が主人公の物語は刺激的だった。犯人側の目線、犯罪者の心理、殺人を犯す人間の思想。  それらの作品側から見たときに、警察官は悪役でしかなかった。特に悲しい過去を背負った主人公の時は、逃げ切る事や目標を達成する事こそがハッピーエンドであり、それを阻害する存在は悪でしか無いと思うほどだった。  そしてある時、ふと気が付いたのだ。どちらの側面も人間であるという事。警察も犯罪者も時には正義、時には悪であると。この世に絶対の正義や絶対の悪などは存在しない、どちらも表裏一体。人間はどちらにもなれるし、選択は自由なのだと。    そこで僕は、経験してみる事にした。〈どちらか〉ではなく〈どちらも〉。    今日は配属初日。これから楽しみだなぁ。
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