4人が本棚に入れています
本棚に追加
電話
「おばあちゃん、私の声聞こえるー?遠くにいるのにおばあちゃんの声が聞こえるよー!電話ってすごいねー!」
東京に住む幼い子供は、家に設置された電話で嬉しそうに九州にいるおばあちゃんに電話んしていた。
「つかさ、そんな大声で言わなくても聞こえてるよぉ」
おばあちゃんはゆっくりとした口調で返事をする。
「つかさ!明日何だけど」
二つ折りの携帯電話で友達と話をする。
「うん、うん、分かった!じゃ明日ね!」
友達と話し終え携帯電話を机の上に置き宿題をする。
つかさは電話で話すのが好きでメールはあまり使わなかった。
電話の方が会話していると言う感覚があるからだ。
ボタンを押す携帯から画面を触る携帯が普及し、SNSで色んな方法で人と繋がるようになった。
それでも電話と言う機能がなくならないのはやはり便利だからだろうと思う。
つかさは通話コミュニティで知り合った人と付き合うようになった。
「それにしてもホント便利な世の中になったよね」
「ホント、おばあちゃんがいたら使い方教えたりして」
他愛もない会話を楽しむ。
耳から音がする。孫から電話がかかってきた。つかさは耳たぶについたボタンを押す。
「聞こえるー?すごいよねー!チップ番号一つで簡単に話が出来るんだよー!」
孫は嬉しそうに話す。
つかさはゆっくりとした口調で返事をする。
「そうだねぇ。次はどうなるんだろうねぇ、電話」
最初のコメントを投稿しよう!