騙した結果

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騙した結果

 私が住んでいる家の前にマンションが建てられた。おかげで日当たりが悪くなり洗濯物が乾きにくくなっってしまった。  季節は梅雨、雨が降ってきたので洗濯物を取り込んでいると向かいのマンションの一箇所に洗濯物が干してあるのに気がつく。 (あ、もう誰が引っ越して来たんだ。……洗濯物出てるけど雨降ってきたの気づいてないのかな?)  そんな事を考えながら洗濯物を取り込んでいるとある事に気がついた。  それは向かいのマンションに干してある洗濯物が私の着ている服と同じものばかりだった事に。 (センス似てるのかな?話てみたいな)  そう思い今度挨拶してみようかと考えた。  そして雨の日が続いたある日。今日も急な雨で急いで取り込んでいる時、ふとあの場所を見ると洗濯物が私の同じ物ばかりだった。  私とセンスが似ている人なのかと思い気になり挨拶ついでに聞きに行く事にした。  マンションの階段を上がり4階へ行く。部屋の前まで行きインターホンを鳴らした。  2回鳴らした後、鍵が開く音がしドアが少しだけ開くと中から声がした。 「こんにちは。中へどうぞ」  顔も見えない、会った事もない人をいきなり招きいれるものだろうか。  そんな疑問を抱いているとドアが開き、廊下が見えた。奥からさっきと同じ声で名前を呼ばれる。  なぜ私の名前を知っているのか、もしかしたら知っている人なのかもと思い不注意にも中へ足を踏み入れる。  廊下の先のドアを開いた時、後悔した。  そこには中肉中背の男がナイフを持ちこちらに背を向け立っている。  男の周りには透明な袋に入った赤黒く染まった臓物。散らばった骨。転がっている生首。部屋のあちこちに死体から剥がされた人間の皮がハンガーにかかっていた。 「っ!……」  あまりの衝撃に声が出ず、私は呆然と立ち尽くす。  背中を向けていた男がこちらを振り返ると、その顔はどこかで見覚えがあった。 「◯◯さんを見かけた時は驚いたよ。まさかまた会えるなんて思ってなかったからね。まぁ、君は僕の事何て忘れているだろうけど」  少しずつ思い出される記憶。あの時は楽しかったと。  しかし今は目の前に転がっている臓物、骨、生首。それを見て殺されると思い逃げようとしたが足が鉛のように重く動かない。  どんどん近寄り急に素早く動いたかと思うとお腹に鈍い痛みが走った。そのあとすぐ強烈な痛みを感じ意識が朦朧とする。  天井が見え死ぬのかなと思うと今までの出来事を思い出した。 「愛してていたよ◯◯」 男は私の名前を呼ぶ。あぁ……、この人は……。
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