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心眼鏡
「すごいな有二!心でも読めるのかよ⁉」
友達が好きな人に告白するかどうか、悩んでいたのが心眼鏡を使ってみて分かったので告白してみたら?と話しに行ったらそう言われた。
告白を促してみると
「お前も好きつってなかった、あの子の事」
好きだった事は確かだ。あの子の心を見るまでは。
星が見たいと思い望遠鏡がなかったか、押し入れの中を探しているとつかわなくなった双眼鏡が出てきた。とりあえす使えるか試しに覗いてみた。
遠くにいる人も見えるなと思っているとその人の姿が突然真っ黒に見え自分の頭の中に左から右へと文字が流れていった。
『あー、早く話終わんないかなー。この人はなし長いんだよねー』『とりあえず相槌相槌』
何が起きたのか分からずもう一度その人を見ると今度は普通に笑顔が見えた。
単に自分が頭おかしくなったのか不安に思い台所にいた親をその双眼鏡越しに見る。
さっきと同じ事が起きたので流れてきた言葉をそのまま親に言ってみると
「何……?あんた……、気味悪いわね。私が考えていた事を……」
恐ろしいものでもみたかのような顔で言う。
これはもしかして……、と思い仕事から帰ってきた父親にも試し近所の子供にも試し確信した。この双眼鏡は人の心、考えが見えるものだと。
一回使ったらもう見えないのかと次の日もう一度親を見てみると機能と同じようになり、一日一人一回と分かった。
そんな双眼鏡を有二はかっこつけて心眼鏡と呼ぶことに、もちろん自分の心の中だけで。
最初に見たいと思ったのは好きな人だった。
覗き見みたいでよくないなと思いつつ興味の方が勝り、恋愛話を友達としている所をこっそりと見る。
「だから秘密だってー!じゃあ先に言ってよー」
『兼島の事好きって言ったらどう思うかな^……』『てか被らないよね……』『先に聞きたい』
兼島とは有二の友達の事だ。ショックだった。好きな人が自分の友達の事を好きなんて。
だが兼島は良いやつで彼女の事も大事にしてくれそうだと思うと諦めもついた。
好きな子の好きな人を覗き、知って良かったのだろうか。知らずに告白して降られた方が悪くはあるが思い出になったのではないか。
そう思い最後に兼島を見て終わりにし、その心眼鏡もとい双眼鏡は破壊しゴミに出し捨てた。
有二は思った。今度は人の心が見えるものではなく女の子の裸が見えるものが良いと。
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