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「えっ・・・、今なんて?」
愛未は自分の耳に届いた言葉が信じられず、彼女の方をゆっくり振り向きながら恐る恐るたずねた。
「私はもっと生きたかった!」
あかりはさっきよりもはっきりと大きな声で叫んだ。
愛未は何も言えず、ただ彼女をじっと眺めた。
彼女のほっそりとした体は境界が不明瞭で、その絹のような肌からは背後の無機質なコンクリートがぼんやりと透けて見えた。
「ねえ、もし死ぬつもりならさ、最後に私の願いをかなえてよ。」
そう言うと彼女は満面の笑みを浮かべた。
その笑顔はこの世のものとは思えない輝きを持ちながらも、どことなくはかなさを感じさせた。
それは彼女がもう死んでいると愛未に確信させるのに十分なものだった。
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