愚痴の電話

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愚痴の電話

『あ、あははははは』 「笑い事じゃないんだけど! ミナちゃん!!」 『だって花緒が話を聞かされてるのがおかしくって』 「ミナちゃんは、悔しくないの? 憧れの先輩が宗教にハマってるんだよ」 『だって、だって、今更じゃん。こっちだと有名だよ。あの晃雄先輩が宗教にハマったの』 「! そうなの!?」 あれから一人スタバに残された私はしばらく呆然とした後、なんだか悔しくなってしまった。 憧れの先輩から呼び出されて、ウキウキだった気分を返してほしいと渋谷から原宿に移動。 衝動的に散財をして一人暮らしのアパートに帰ってきた。 そして、地元で進学した同級生に電話をかけたのだった。 『ていうか、渋谷から原宿ってコースがいかにも田舎者の選びそうな感じよね』 「しょうがないじゃない。東京、そんなに慣れてないんだもの。それはいいから、有名って先輩何したの?」 『うーん、先輩の知り合いとか高校の後輩とか、とにかく片っ端から宗教の勧誘しまくったみたいよ』 「へぇー」 『何人か声をかけられてついていったら、宗教の集会で泣きながら帰ってきたって。それで、揉めてるみたい』 「そうなんだ……」 『だから、先輩の親とかさ怒っちゃてるみたい。『勘当した。うちにはもう関係ない!!』って言ってるって』 「ウソ。そんなになってるの」 『そうそう。家の貯金に手を出したとかなんとか。とにかく、こっちじゃ関わっちゃいけないって有名よ』 「知らなかった。ショック……」
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