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第二話 偶然?イケメン先輩との少しの時間
次の日の放課後、いつもと変わらない風景に毎日よくもまあ続けて来たな、なんて感心する。
本は好きだ、読むのは、ミステリーやファンタジーが多い、一馬みたいに固執してこの人、という作家もあまりいない。
「よ」とだけ言っていつもの席に座る人。
私は最後のお知らせを作るのに準備室へ入った。
「早いね、三年」
「うんそうだね」
仲の良かった、三上淳が入ってきた、彼女ともたぶんこれで終わる。ただ親友としての関係はこれから築き上げるしかないと思っている、案外学校が変わると離れていくのはわかるんだよね。
「いつから?山岸の事一馬って呼びすてになったの?」
「去年、ほら、日向先輩たちと準備室に集まるようになってから」
ご苦労様ですと遅れて入ってきた後輩たち。
「ふーん」
「それだけですか?」
そう言ってきたのは後輩の美和ちゃん、彼女にもいろいろ世話になった。
「どういうことよ?」
「だってー、私、日向先輩の方がかっこいいからそっちを選ぶなんて言いながら、結構二人の時間長いじゃないですかー」
そんなことないといいたいけど、母親同士が仲いいのよね、聞いたら小学校の友人だったんだって、うちらが後から町に来た、当時は建設ラッシュで、大きなマンションが建ち始めていたから、父さんはそのマンションを買ったローンは大変だから、あまり贅沢はできないしね。小学校はマンモス校で同じクラスになることはなかったし、まあ親の付き合いだけって感じかな、年賀状のやり取りで、子供の事はよく知っていたみたいだし。
「へー、そうなんだ」
「でも二人いい雰囲気ですよね」
「そうそう、山岸先輩結構いけてるもん」
「はー?」
元バスケ部、ケガをしてやめちゃったけどファンは多いよという。雄一もそうだという、二人並ぶと絵になるよねだーって。
あっそう。
そこにセンタも加わったらアイドルグループだよねという後輩たち、へー、
後輩たちはドアの陰から一馬を見てる。
いい男?基準がわからん。
あ、何か食べてる。
かばんからごそごそと何か出しては口に運んでいる。
アーそういえば一年の実習で、クッキー作ってたな。
ふーん、いいんじゃありませんか?
いいのか?狙われてるぞ、主、と絡んでくる淳。
「かまいません、あんなの」
終わって帰り際、準備室から出ると一年の子が受付で言う。山岸先輩だいぶ前に帰られましたよ。
やっぱりと言っている淳。
「だかーらー、あいつとはかんけーないの」
はいはい、じゃね帰るね。
「待って淳」
じゃね、あとよろしくと後輩たちに頼み外へ出た。
そういえばこの頃帰る時間もバラバラでさ、なんて話ながら電車に乗り込んだ。
「はーるーみちゃん?」
あ、昨日の、後藤さん。
「ども」
「お友達?」
そう、淳にも話した、後藤さん知ってる?
知ってる、後藤良樹さんですよね、T大に行ってる。ほう、同じ大学ですか、それで仲が良かったのかな?
「俺有名人?」
「それ知ったときは卒業でしたけどね」
「そりゃそうだ、何、三年なのにまだ部活?」
「一学期いっぱいです」
もう終わりですよ。
「そっかー、俺らの方が早く夏休みだもんな」
アナウンスが流れた、先に淳が下りた。
バイバイ。
そのあとも先輩はどこで降りるんですかなんて聞き、私のもう一個先、急行で一個行って戻った方が早いのにというと、ダチとしゃべりながら帰るのが楽しいから準急に乗るんだそうだ。
「ついたぜ」
「それじゃあ、さよなら」
バイバイなんて手を振ってる。
それから二週間、毎日じゃないけど、先輩と会っては短い話に花が咲いていた。
「おはよ」
「はるみ―、誰、誰?」
「ねー、昨日の人誰?」
話好きの女子が集まる。
二年上の後藤先輩、たまたま電車で会ったといった。
ア~知ってる、陸上部。
へー、そうなんだ。知らないの私だけ?
彼氏?付き合ってるの?
そんなんじゃないから。
その日の帰り、また彼と出会った。電車が入ってくると見えた手を振っている人、いつもと違う車両だけどそれに乗り込もうと動き出した。両手につかんだ吊革に体を味けるように、覗き込んで見ている先輩のそばのドアが開き乗り込んだ。
「お疲れ」
「どうも、今からバイトですか?」
「うん、良かったらおいで」
彼は、私の降りる一つ先の駅前のカラオケでバイトしてるんだそうだ。
「もう受験生誘わないでください」
「ごめん、ごめん」
「なあ、彼女か?」
隣にいた男性、彼も華やかな部類、イケメンと言われる要素満載の人。うわーこんな人がいるんだ。
後藤さんはワイルド系、こっちはアイドル系って感じ、ここに日向先輩がいたら、すんごいことになりそう、なんて。Тシャツに、ネックレス姿、それだけなのに、何でこうもかっこいいんだろう、わーやバー、女子の視線痛いわー。
「ちげーよ、後輩」
「へー、彼氏いる?」
「無理です、受験生だもん」
「だもんだって、かわいいなー」
この人はH大、同じところで働いている同い年。
「外岡です、よろしく」
「遠藤です、よろしくです」
そんなんでワイワイした時間はあっという間に過ぎていく。
次の日の朝、駅のホーム、並ぼうとして。
「あれ?」その声に顔をあげた。
「ここ?」
「はい?」
外岡さんとばったり。
へー、じゃあ、すぐそばじゃん。おんなじ小、中だったかもしれないな、おぼえてねーよな?マンション群、子供の数も半端なかったし、先輩たちは三十人八クラス。
「噓ー、うちら四十人でしたよ」
「それじゃあ覚えてるわけねぇか、それに俺四年生の時転校してきたし」
そーだよなー、知らねーよなー。なんて話、混んできた。
「こっち、あと一つだろ?」
「はい、ありがとうございます」
彼はかばってくれた、ポールに体を寄せるけど、体を話して、私が楽なようにしてくれてる。いい男は、紳士よね。
アナウンスが鳴り、人が流れ始める。
「じゃな、また会うかもな」
「そうですね、それじゃあ行ってきます」
バイバイと手を振った。
「おはよ」
「きたー」「はるみ、モテキ!」「ねえ、二股?」「日向先輩もいるのにー!」
もう、なんでそんな話になるのよ。
大学生、かっこいい、付き合いたいという、紹介してだって、知らないよ先輩っていうだけで。
こんな話ばっかり、まあまあなんじゃないのなんてあしらっておいた。
帰りの電車、今日は何もなくて、早く帰ってきた、テスト週間、これが終われば、夏休み、夏期講習かー。
「はア」
「でっかいため息」
上を見上げた。かっこいい人に、ドキン!
「おかえりなさい」
「おかえり?」
プ―ハハと笑われた。
「だってー」
「いいんじゃない、なんて言っていいかもわかんないよね」
外岡さんに又あった、早いねなんて言われ、テスト週間に入ったと話した。
「そうか―期末か、これが終わると地獄が待ってる」
「そうなんです、それでため息ついてました」
そうか、そうかなんてまた笑われた。
「大学どこ行くの?」
О短大
「へー、頭いいんだ」
「そんなことありません、ただやりたいことがあるから」
「就職?」
はいと言った。
「へー、何やりたいの?」
「翻訳をやりたいんです」
「それでか、四年生の方がいいんじゃないの?」
あんまり関係ないみたいで。ふーん、そうなんだ、О短大ならうちでもいいのに、お金の問題?違うけど。考えてみたらと言われた。いい先生でもいるのか聞いたら、外語学はいいのがそろっているから、通訳なんかで多くに人を出しているという。・・・そうなんだ。聞いてみないとわかんないな。
アナウンスが話をしている中に入り込んできた。
「あっという間だな」
「そうですね、それじゃあバイトがんばってください」
「あはは、深夜二時まで頑張りますか?」
「噓、大変」
そういうもんさと言って背中を押された。
バイバイと手を振った。
それから何度か朝に外岡さんとは会うものの後藤先輩とは合わなくなった、何でも割のいいバイトを始めてこの時間ではいかないらしい。ホストかな、なんて言ったら、あの大学じゃ無理なんだって、課題が半端ないらしい。流石、日本の最高峰。
じゃあ家庭教師とか?
ピンポーン、やっぱりわかる?なんて話していた。私も電車じゃなく、テスト期間中は、都立図書館へ行くから帰りの電車は使わなくなることを話したし。
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