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第三話 明暗、対照的な人たち
期末テストの最終日、駅前の本屋へ行くと淳ともう一人、竹花咲、彼女も同じ予備校に行くことになった。電車の中で話していた。テスト終了と同時の予備校はこたえる。一馬たちはと聞かれ、あいつらは都立図書館に行っていると話した。
やっぱり、旦那の事はよくわかっていると言われ、茶化すなと言っておいた。
ワッハハと笑う声にみんなの視線が集まる。
「派手だね」
「あれ?はるみ」
「先輩だね」
どれどれなんて言ってるその先に、後藤さんと外岡さんや大学生の男性たち、それに女性たちは夏服だからか、派手に見えた。短いスカートに、肌も露出、ジャラジャラとつけたアクセサリーに化粧、爪もすごい。
「すごいね」
「あれ、大学生?」
「ぶっちゃけ、はじけてるね」
「うちらもあんなふうになるのかな?」
無理無理なんて話してたら、目があった。手を振る外岡さん、頭を下げたら後藤先輩も手を振った。
「なにー」なんて女の人たちの声が聞こえたけど、人が多くて、同じような学生も多いから声にかき消された。
その時初めて目に入ったものがあった、男性三人、なんか暗い感じ、オタクっぽい、その人たちがうちらと、先輩たちを交互に見ていた。でもその時はさほど気にはならなかった。
電車を降りると、みんなも降りて来た。
おんなじ方向へ行く、まあこっちは飲み屋やデパートなんかもあるわけで。あーそれにいろんな学校もあるなーなんて、大学の分校もあるし、ああ、W大もあるしな。
女性が男性にまるでぶら下がるように腕を組んで歩いていく。
「なんか嫌ね」
「はるみ、やめときなよ」
「そうそう、誠実が一番」
「一馬あたりで手をうっておけ」
「なんでここに一馬が出てくんのよ」
「まあいいジャン、山岸もそれなりの顔だし」
「それなりがいいよねー」
なんて、もう、勝手なんだから。
私たちは、本屋に入ろうとして、先輩たちの行く跡が、何気に目に入ってきた、でもその後ろを行く、あの三人の男性も目に入った、明るいグループとは対照的な人たち(ちょっとキモイかも)
だったからかもしれない。
「はるみ、行くよ」
「待って!」
本を買って、隣のファストフード店で大騒ぎ。
「やっば―、もう八時じゃん」
「帰ろ、また明日」
「あー、夏休み最後なのに―」
「ははは、がんばろうね、大学に入ったら明るい未来かもよ」
「入る―、絶対入ってやる!」
うわー、九時だよ、連絡したけど。
看板には痴漢注意の文字。
夏服、そういや結構出るんだよな。去年は、一馬たちに良く送ってもらっててそんなに思わなかったけど、暗いよなー。
ちょっと心細いかも。
ピ。
携帯の音にびくっ!
「もう、何よ、戻るのめんどくサー」
ライン。買い物、パン、パパのコーヒー。
もう一人からも、アイス、シャーペンの芯
「自分で買いに来い!」
バカ弟。
今来た道を戻りコンビニへ入り買い物を済ませ又すぐに戻る。
「ハ~」また真っ暗。
ヒタ、ヒタ。
ん?
カッカッ。
ヒタヒタ。
もしかして、つけられてる?さっきのキモイ男性達が頭をよぎった。
少し急ぎ足。
カッカッカッ!
ヒタヒタヒタ!
いやー、走り出そうとした。
「まち!」
え?
「やっぱり、こんな遅くまで」
ハア、ハア、外岡さん?
ため息ついたときそうかなーと思ったそうだ。
「わりぃ、怖かった?」
「少し~」
この道こえ~よな、ほらそこの寺のサー、なんて、ほっとさせてくれてるのかな。バイトは早番だったそうだ。
地元のあるある話、送ってもらっちゃったかな。
「私ここで」
「あっそ、じゃな」
「あ、あの」
「なに?」
「これ、溶けてるかもしれないけど」
「おー、ガリくん、ありがと、おやすみ」
「おやすみなさい」
やっぱりいい人そうだ。
夏休み突入、予備校、夏期講習、せっかく申し込んだんだ、がんばんなきゃ、でもなんかすごいハード。
「おつかれー」
「くたくたー」
「もう、これから毎日―」
「もういや」
「ねえ、聞いた?」
なに?何?
「卒業生の話を聞けるのがあるじゃん、なんか卒業生、先輩みたいだよ」
「へー、うちの高校の先輩」
「うん、そう聞いた」
へー誰だろう、まあ誰になるかわかんないけど、それでも超ハードだわ。
「ねえ、それよりさ、見た?」
「見た、見た、びっくりだよね」
どうかしたの?
センタが外人と歩いていた、すっごくかわいい子。
ああ千葉さんか。
「ガールフレンドよ、いいなー、私も恋したい」
「恋は来年だよね」
「今は見てるだけでいいし、初恋は成就しないっていうから、いい男見るだけでいいよねー」
そんなたわいもない話、すぐにブザーが鳴り次の授業が始まった。
家に帰ると、マンションの前には多くの人がいた。
何?かきわけていくわけでもなく、見ている人たち、その様子は、ほとんどが住人だ、そこに見えた母と弟たち。
「お母さん?」
「おかえり」
何があったの?
「みて?」
集合ポスト。ここにはすべての部屋のポストがある。
「姉ちゃん、見て、すっげーだろ」
子供たちがいろんなことを言ってるが。ツンとしたにおい、ペンキ?
何これ?
「おかえり」
「お父さん、あ、こんばんは」
そこには男の人たちが集まって、それを消していた。
「いたずらにしちゃやりすぎよね」なんて声。
そう、ガードレールなんかに書いてあるような絵が壁やポスト。とにかく一面に描いてある、でもこんな人の通るところで。
「警察は?」
「管理局からしてもらった」
「いつですか?」
「今朝はなかったみたいなんだ」
ほら、もう戻りなさいという声がしていた。
近所の人たちは、火なんかつけられなくてよかったよと、下に落ちている投げ込みの広告を拾っていた。
そうだ、足跡、だめだ、こんなんじゃ。
下は塗料が渇いていないのかべとべと。
そういえばと上を見上げた。
「あれ?防犯カメラは?」
「壊されていてね」
「いつからですか?」
「それが・・・」
どうも、管理局の方もちゃんとやってないのか、だいぶ前から見たいなことを言っている。
「じゃあ、同じ系列のマンションも?」
「さあな、今頃調べてるかもな」
早く帰りなさいと言われた、大人たちは、何とかしないと、と話していた。
また次の日も、外岡先輩と会った、帰りは送ってもらっちゃって、超ラッキーかな。
でも、また、落書き。
今度はベランダ側、文字ならわかるが、変な絵で、ドクロやアクマだろうか大きな鎌で女性らしい人の首を切りにかかっていた。
父さんに昨日の絵の事を聞いた。
「あー、そういえば、似てたかもな」
慌ててその絵を見に行ったらもう消した後だった。
なんでも乾いていないみたいですぐに塗料で消せた見たいなことを言っていた。
一馬に電話した、すると模擬テストでそれどころじゃねえ、「だって」と言ったら写真とか取っとけ、次又なんか起きたら連絡くれとぶつりと切られた。
相談しようとした私が悪いのかよ!バーカ!
スマホに向かって言っていた。
それでも、集合ポストの前で写真を撮った、こんなの取ったってな。
次の日も騒ぎは起きていた、外の遊具にかかれていたらしいが、こっちは間に合わなかった。
でも、それからピタリと何もなかった。
私も先輩方と会うことはなかった、まさかねー。
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