インタビュー

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 ああ、あんたかい?  アタシにインタビューしたいって御人は。  なかなか酔狂な人だねぇ。  アタシなんざ大した話出来ないよ?  有名って言ったってたまたまなんだからさ。  いやいや、ほんとにたまたま。  撮ってくれたキャメラマンが上手かったんでしょうねぇ。  アタシらなんて、タダ撮られるだけなんだから。  もちろん、精一杯のことはするよ?  立ってるだけ、動いてるだけなんて雑な事はしやしないさ。  自分が何を表現したいかって事は、しっかり考えるね。  これを考えない奴はね、大抵うまくいかない。  だから、こう見えて色々考えてんだよ。  まあ、考えてるって見せちゃうと興ざめだからね。  出来るだけ自然体でってのはあるけどねぇ。  というかまあ、考えるのが癖になっちゃってるんだなぁ。  なかなかどうして面倒くさいもんだね。  あれだな。職業病。アタシらはみんな病人って事かね。  ああ、いけねぇ、こんな事言うと怒られちまうかな。  けどね、結局はどう撮って貰えるかって事になっちまうんだな。  色々考えたって、撮る側の技量によっちゃ全部パアになっちまう。  そんなときの虚しさってぇのはあるわなぁ……。  難しいかね? まあ、なかなか分からん感覚かもしれんねぇ。
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