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薫の言葉に操られた白波瀬を目の当たりにし、湯浅は思い出した。
白波瀬と薫の二人が魂の番であると告知した桜庭が、
『車中から舗道にいるオメガに反応するくらいだから検査するまでもない』
と言っていたのを。
白波瀬の不眠をあっさり解消し、大嫌いなものを口にさせる。
しかしそれらは本当にメイト同士のなせる技だと言うのだろうか ── ?
探求心に衝かれた湯浅は白波瀬の側まで行くと、試しにプレートから薫と同じように玉葱の一切れをそっとつまんだ。
白波瀬を見れば、
「ははっ、また薫に驚かされたな。
つい口を開けてしまったが、確かにこの玉葱は辛くも苦くもなかっ、、、」
玉葱を手にした湯浅の動きに気づいて笑いを止める。
しかし、走り出した湯浅の はやる心は止められようもなく、血色の良い ふくふくした唇で、
チュッ、、
と塩を舐め取ると、白い一片を暫し見つめてから主の薄い唇に狙いを定めた。
湯浅の脳内に指令の声が響く。
『ロック』
の、
『オン』
湯浅の熱い視線に身を引く白波瀬。
「待て。
何を考えてる、湯浅」
「社長」
「お前、目が変だぞっ」
「湯浅のタマネギも、、、」
「よ、よせっ」
「アーンて、してっ」
「やめろっっ、、、」
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