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しばらくそうしておいて足が温まってからタオルを外し、すぐに乾いたタオルで包み直すとそっと立ち上がった。
入眠の邪魔にならないよう片付けは後にし、ベッドの隅に畳まれているケットを取って掛ける。
就寝前にリフレクソロジーを受けるのが習慣になりつつある今、白波瀬は夜中にラウンジチェアからベッドへ移動した後も再びすぐに眠りにつけているという。
薫はほっとして、
「おやすみなさい。白波瀬さん」
聞こえるか聞こえないかの声量で囁いてから部屋を後にした。
───
静かにドアが閉まるのを待ち、白波瀬は薄く目を開いた。
─ あれは何だったのだろうか
薫と話すごとに湧き上がる、
独占欲と理不尽な感情を思い、僅かに瞳を揺らした。
ベッドに移動しても答えは見つからず、身を起こしたまま片手で顔を包み、暫し考え込む。
「何だったんだ、、、」
─ 薫の手を、声を、
緑の光さす瞳が向かう行方や、
体温、そして心までもを、、、
奪い尽くしてしてしまいたいと
思ったあの、
「説明のつかない衝動は、、、」
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