兄は妹のために自宅をラッピングする

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「ゆっちゃんにはサンタさん来るかなあ。」 「くるもんっ。、、、くるもん。」 大きな声で言い返したゆきちゃんはちょっと迷って、でもやっぱり来て欲しくて小さな声で繰り返した。そうして、赤い帽子の白いひげのおじいちゃんの砂糖菓子をブッシュドノエルの真ん中に乗せる。そのとなりにプレゼントボックスも忘れない。くつしたのかわりに卵色のたてじまのながぐつも乗せる。切株のぐるぐる渦巻きにおもちゃのツリーを刺して、うーん、と今度は反対側に首をかしげた。ポリポリとチョコをかじるてっちゃんも、うーんと首をかしげ真似をする。むむっとゆきちゃんは思いついて、びしっとてっちゃんを指さした。 「てっちゃんにはサンタさんくるん?」 「こないよ。悪い子にはこないの。」 びっくりしてゆきちゃんは目をまんまるにした。たしかにてっちゃんはママのケーキをだいなしにしたり(でも初めてのチョコレートはとってもおいしかった!)おんらいんでげーむますたーになってパパを困らせたり、夏休みが終わっても学校に行かなかったり(行かないまま冬休みになった!)、、あれ、てっちゃんあんまり良い子じゃないかも?と気付いてゆきちゃんは目をまんまるにしたままお口もポカンとあけた。 「ん、だからね、端っこにコレとコレ。」 お兄ちゃんが食べるとこだから飾らせてよ、とてっちゃんは砂糖菓子を乗せる。それから赤と緑のマーブルチョコをサクサクとケーキにぶっさした。ゆきちゃんはあんまりかっこかわいくないけど、いいよ、とうなずいた。 それから残った砂糖菓子はブッシュドノエルの上じゃなく横に並べて、ついでにマーブルチョコで周りをぐるっと囲んだ。森の中の切株っぽくてかっこかわいい、とゆきちゃんはふんすと鼻息荒くにんまり笑った。
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