龍神さまの溺愛

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「ねえ、孝太、ここにヘビがいるんだけど、ヘビなのに小さな手足がついてて……もしかしてだけど、神様なのかな?」 「どれ? あ、ホントだ。龍神さま、かな? 随分と弱ってるみたいだけど」 「うーん、このままだと干からびちゃうよね。どうしよう?」 神様やあやかしが「視えた」幼いわたしが拾ってきたのは、人間の開発によって住み処となる川を埋められ弱っていた龍神さまでした。 「どこかのきれいな川ってないかな?まだ名前のないとこ」 おばあちゃん家の裏庭に続く、湧き水の出る名もない川に、ぐったりした龍神さまを孝太と放したのが十年前。 そして、現在は─── 「俺の嫁に半径1メートル以上、ち・か・づ・く・な!! いくら幼馴染みと言え、……おい、孝太! わざとらしくくっつくんじゃねえ!」 うちの龍神さまは大変ヤキモチ妬きである。 幼馴染みの「視える」孝太と一緒にいたら、大空を飛んできて離れろと風に身を泳がせ威嚇している。 孝太に限らず、つくも神さまやあやかしたちにも、わたしに近づこうものならばこの通り。 特に孝太には過剰に反応するのはなんでだろう? 孝太とはただの幼馴染みなのに。 「相変わらずすっげえ重い愛背負ってるな。ゆうは」 孝太が笑ってわたしを見た。 重い愛とは、わたしの体に巻き付かんばかりに空中でヤキモチ妬いてる龍神さまのことだ。 わたしの名前は、如月 ゆう。 この春に短大生になったばかり。 今も「視える」神さま、あやかしたちと毎日賑やかに過ごしてる。
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