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離さないと抱き締めてくれる腕にそっと頬を寄せた。
「さてと、俺はファンの女の子たちに会いに行ってこようかな。俺が来るのを待ってるみたいだし」
「え?」
「俺も嫁さんを探しに行こ。どこにいるのかなー、俺のマイハニーは。龍、じゃあな」
「えっ?えっ?」
「おっと、孝太も来い。俺がいい女を紹介してやるから。ゆうよりももっと可愛いこと言える女を」
「えっ?えっ?えっ?」
突然、孝太を引きずるようにしてあやかしたちの姿は消えて行った。
残されたのは龍神さまとわたし。
龍神さまはゆっくりと顔をあげてわたしを見つめた。
琥珀の目がとてもきれいで息を飲む。
「……おまえを誰にも渡したくないんだ。吉丸にも雷鬼にも。そして孝太にも」
告げるその瞳にわたしが映ってる。
「死にかけた俺を救ってくれたあの時からずっと。ゆうだけだ。これから先も……」
触れるくちびる。
甘く約束の時を結ぶ。
「いつか、俺の花嫁になってくれるか?」
真っ直ぐに伝えられた心に、わたしは微笑んで頷いた。
「もちろんです、龍神さま。」
【完】
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