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テラス 再び
白金台のオープンテラスで、真夏と美鈴はランチタイムだ。
先に食べ終わった真夏は、まだ優雅にデザートを口に運ぶ美鈴を見て、スマホを開いた。
「あれ?」
ティラミスをスプーンですくった美鈴は、顔を上げる。
「何?」
「美鈴、DMの文章、変えた?」
美鈴はこくんと頷いた。
「へぇ。こないだ聞いたシャドウワーク、ちゃっかり使ってるじゃん」
「そうよ、学んだことは活かさないと」
美鈴は澄まして、ハーブティーを一口。
「あたしたちのお掃除は、確かに影のお仕事ですもの」
「そりゃそうだ。陽が当たったら捕まっちゃう」
真夏が微笑んだ途端。
ポン! と通知の音がした。
「お、また来たよ、新規の依頼」
真夏の言葉に、美鈴は甘いため息をついた。
「あらあら、もう? この間片付いたばっかりなのに。ほんとお掃除って……」
白金台に柔らかい風が吹く。
「キリがないのよねぇ」
(了)
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