テラス 再び

1/1
前へ
/9ページ
次へ

テラス 再び

 白金台のオープンテラスで、真夏と美鈴はランチタイムだ。  先に食べ終わった真夏は、まだ優雅にデザートを口に運ぶ美鈴を見て、スマホを開いた。 「あれ?」  ティラミスをスプーンですくった美鈴は、顔を上げる。 「何?」 「美鈴、DMの文章、変えた?」  美鈴はこくんと頷いた。 「へぇ。こないだ聞いたシャドウワーク、ちゃっかり使ってるじゃん」 「そうよ、学んだことは活かさないと」  美鈴は澄まして、ハーブティーを一口。 「あたしたちのお掃除は、確かに影のお仕事ですもの」 「そりゃそうだ。陽が当たったら捕まっちゃう」  真夏が微笑んだ途端。  ポン! と通知の音がした。 「お、また来たよ、新規の依頼」  真夏の言葉に、美鈴は甘いため息をついた。 「あらあら、もう? この間片付いたばっかりなのに。ほんとお掃除って……」  白金台に柔らかい風が吹く。 「キリがないのよねぇ」 (了)
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加