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ベースメント 4
不意に、正面の壁が明るくなった。
ファンの回る音がして、プロジェクターが立ち上がり、パソコンの画面らしいものを映し出した。
社会のお掃除サービス
#18 リクルート・ハーレム
クラウドファンディング
目標額100万円
達成したら、社会のゴミに認定・お掃除します
その下には数字があり、目まぐるしく動いていた。
一番左の単位は『¥』である。
「いまこの状況はネットで中継されてるのよ」
プロジェクターのスイッチを入れた美鈴が言った。
「もちろん、社会のお掃除サービス会員様限定でね、そしてあなたが何をしたかを話して、クラウドファンディングであたしたちの報酬を募ってるの。その金額が100万円を越えたら、あなたはめでたく社会のゴミに認定されて、お掃除される訳」
そ、掃除って……
ま、まさか私を……
殺すのか!
大企業の人事部長たる、この私を?
たかがセックスしたというだけで?
「じゃ、100万を越えなければ……」
私は一縷の望みにすがった。
「このまま放置さ」
真夏がアメリカ人風に肩をすくめる。
「お前が自力で脱出できれば助かる。出来なきゃここで餓死だね。垂れ流しの、クソまみれで」
脱出……私はきつく縛られた両手を動かそうとしてみた。
かなり難しいだろう。
しかし、希望が残るだけましだ。
祈る思いで、壁の画面を見る。
数字は増え続けている。
90万を突破した。
まだ増えている。
95万。
97万。
99万
993,000
994,000
一口1000円なんだな、と私はどうでもいいことを考えていた。
恐怖で涎を垂らしながら。
995,000
996,000……
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