サブリミナル効果

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「成長ね、まぁ、気持ちは分かるよ」 「…そ、っすか、ね」 「だって、ホラ、僕も今成長を楽しんでるし」 何処を見て何を思ってそんな事を言っているのだろう。 とか、聞いたところで自分が恥ずかしくなるだけだと分かっている十時は利口を貫く。 「十時の乳首すげぇエロくなってて、最高じゃん」 「…っ、」 やっぱりだよ。 今日も今日とて、楓からキャラメルのフレーバーの効いたレアチーズケーキを差し入れて貰い、咽び泣きながら食した後、満たされた食欲とは別に湧いてくるいつもの欲。 最近では十時から楓の眼鏡を外し、悠々とソファに座る相手の膝に乗り、キスを仕掛けている。 それがスイッチ、なのかもしれない。 満足そうに微笑む楓に対し、不思議と高揚感が湧いてくる事に恐怖すら感じる十時だが、自身も興奮しているのだから言い訳のしようも無い。 (男子高校生なんてこんなもんだろ…) はいはい、猿で結構。 精一杯の言い訳は心の中だけで。 しかし、そんな十時でも、これはまだ慣れない。 「十時って乳首かなり敏感だよなぁ。まさか初めてでイくとは思わなかったわ」 奇遇ですね、俺もですよ。 ぐぅぅぅっと下唇を噛み締める自分の気持ち等知る由も無く、楓は赤くぽってりとした十時の乳首を舐める。 びくっと浮く下半身へダイレクトに伝わるのは快感だ。 認め難いが、それだ。 けれど、今まで一度だってただの飾り程度、洋食屋のエビフライ等の横にあるパセリ、焼き魚について来るはじかみ生姜、そんな認識くらいにしか思っていなかった箇所がこんなに気持ち良いなんて、受け入れ難いのも事実なのだ。 分かっている。 パセリやはじかみ生姜が堪らなく好きだと言う人も居るのは分かっているが、興味の無かった十時にとっては本当にそんな程度だったと言うのに。 「ちょっと吸い易くなったよなぁ。ぷるぷるしてんのがやらしー」 「あ、あの…いちいち実況すんの、やめて、もらっていいっすか…」 世の中色んな実況があるだろうが、きっとこれが一番不必要な実況だろう。 「えーでもさぁ、僕結構大事に育ててんだから観察日記付けないだけマシだろう?」 「そんなん付けてたら燃やしますよ…」 お子様の教育にはお勧めできない恐ろしい、そんな日誌等あってはならない。 「じゃ、カメラで撮るか?何かそう言うのあんじゃんか。我が子を毎日撮り続けるってやつ。あ、それいいな、マジで。ほら、十時シャツ自分で捲ってエロ乳首晒せよ」 ノーマルと横からの角度、一枚ずつな。 「俺、実況がいいっすね、ええ」 こんな他人様の膝上で、一体何を言ってるんだろう。 第三者が通りすがったら二度見決定だ。 うぅ…っと目元に涙を溜め、ぐすっと鼻を啜る十時とは反対に、つまんねーと呟く楓は再び赤く染まっているそこを口内へと招き入れた。 (これの終着点ってどこ、なんだよ…) ふっふっと息を吐きながら、唾液が溜まるのを感じる十時はごくりと喉を嚥下さえたが、 「ちなみにさぁ、僕の目標としてはデカくなった十時の乳首でパイズリならぬ乳首ズリしてもらう、ってとこなんだけど、どう?」 どう、とはーーーー? 耳元でそんな事を囁かれ、想像するなと言う方が無理と言うもので、ぎゅうっと迫り上がってきた射精感に十時はぎゅうっと楓の頭を掻き抱く。 「せ、んぱい、俺、いき、たい、から、」 「僕のも一緒に撫でてくれんの?」 ーーーー優しくしてね ハートマークすら浮かび上がる様な声音に、頷くしかない十時は楓のズボンのチャックに手を掛けた。 じじじ…、っと鳴る音がまた、下半身に響くなぁ、なんて何処か他人事みたいに思える十時の口内にまた唾液が溢れるーーーーー。 (これって、夏休みに入った頃には、一体どうなってんだ?) エアコンの効いた部屋ですーっと寝息を立てて、眠る楓は十時の胸の中だ。 一つ年上の彼はどうも包まれて眠るのを好むようで、 『十時、僕お前のおっぱいに埋もれて寝るわ』 当たり前だが埋もれさせてあげる程の胸は無いのだがこうしてぴったりと十時の胸元に顔を当てている。 寝入り時には十時がゆっくりと頭を撫でるのも気に入ったらしく、ふふっと時折嬉しそうに笑う姿に不本意ではあるがきゅん、なんて少女漫画の如く胸が鳴る訳でーーー。 (やってる事は成人向け雑誌だけどな…) さてさて、どうしてだか今日は冴えている眼と脳。 若さ故、今日は二回も出したのに。 そろりと視線を上げた先のデジタル時計が表す数字は2時になろうとしている。 あと三日で期末テスト。 なのに、こんな事をしているとか自分の事ながら笑えてくる。 (いや、笑えんし)
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