会社内暴力 地獄変

Ⅲ

　しまった!　と思っているとDが、「不味いですね」と呟く。
「これじゃ、お茶も飲めませんよ」
　そのとおりだ。我々社畜にとって重要なイベント、お茶の時間がやり難くてしようがない。　

　仮眠室に鍵を掛け閉じ篭ったAを我々は仕方なく放置し、警察の現場検証を見守った。Aは捕らえられなかったが、捕まえてもどうせ仮眠室に監禁するのだから似たようなものだ。問題ない。　

　警察の現場検証も無事終わり、我が社のオフィスは何事もなく、いつもの過重労働の場へと戻った。仮眠室に閉じ篭ったAを除いて……。