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などとAの処分に手をこまねいている間に監査は始まった。社畜エリートである我々が恐れているのは警察でもなければ、狂った同僚でもなく、労働基準監督署である。奴らは凡人の一般常識を盾に、我々エリートを理解しようとしない。裏帳簿で上手くごまかしてはきたが、流石に死人が出たことを幸いに監査に入ったのだ。
監督官への対応にあたっていたDが、監査の様子を眺めている俺の横で囁いた。
「今回は徹底してますねぇ。誰かの垂れ込みでしょうか?」
「その可能性は低いだろう。我々があまりにも優秀なものだから、疑念をもたれたのかも知れん」
「それと、Bさんの件もあるんでしょうね」
「だな、Aめ、とんだ厄病神だ。それで、奴はおかしなことをしでかさないだろうな?」
「その点は大丈夫です。朝昼の食事には睡眠薬を混ぜてますから、日中は静かなものです」
「監督署に不審に思われさえしなければいい、Aにはこのまま引き篭もっていてもらおう」
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