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 そして今、黄金バットを振り回し、オフィスを縦横無尽に暴れまわるAを止める者は誰一人としていない。この程度のことは、我が社では日常茶飯事であり、パソコンのデータさえ保護すれば大したことではないのだ。  それに、ホームランゾーンに飛んで行ったBは、近年類希(たぐいまれ)なる嫌な奴だった。奴が退場して、皆清々(せいせい)しているに違いない。なにしろ奴は、悪知恵の天才と影で呼ばれる程の嫌われ者だったから、Aも随分と虐められたに違いない。Aが、いの一番にBを血祭りにあげたことからも証明されている。その点Aは、まだ常識人なのかもしれない。キイキイと奇声を発しながら暴れまわっている狂人ではあるが。
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