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「啓ちゃん。こいつらって一体何がしたいんだろ?」
部屋で二人を出迎えたのは布団の上を走り回る茶碗と湯呑。
こけつまろびつしながら小さな足で走っている姿は滑稽だ。
「――知らんが邪魔だな」
二人揃ってこめかみを押さえてため息を落とした。
まさかこれらに朝まで付き合わされることになるとは思いもしなかったわけで……それはそれは賑やかな一夜だった。
ぼんやりと西の空が明るくなるころにその姿は薄闇に溶け、静かになった部屋で意識はようやく眠りに落ちた。
ことねを喜ばせようとして座敷童がやった悪戯は大人には恐怖に感じた。座敷童としては悪気はなかったのだろうがやはり悪戯はよろしくない。
付喪神はすべてを消し去るのは難しそうなので、今後は見えない場所でこっそり頑張ってもらうように説得した。
お互いの平和のために応じてもらえることを祈るばかり。
その後、帳場の片隅からあのピンクのウサギの縫いぐるみが消えたらしい。
――口ではああ言いながらも、遊んでくれる相手が欲しかったらしい。
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