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本来ハーネスを外せばプライベートな時間を過ごせるのに小春はいつも私の周りにいて離れなかった。 彼女の為に父が庭を改良してスペースを作って貰っても中々庭で遊ぼうとしなかった。 私は家を出て自立する準備を少しずつ進めていた。 遅くとも25歳迄には小春と同棲しようと考えていた。 小春との生活は楽しかったし自分で出来る事が凄く広がった。 バスや電車にも乗れるしパソコンで調べた支援施設で小物を袋に入れるアルバイトも始めた。 私と小春は出来る事が徐々に増え始めてこれからもっとお互いが深まっていくという時に思いもよらない事が起きた。 私と小春は庭でじゃれ合って遊んでいた。 するといきなり小春がグエってゲップのような声を出した。 私は突然気配を消した小春を手探りで探すと指先に横たわった呼吸の荒い彼女を見つけた。 顔を触ると口の所が濡れていて血液の匂いがした。 「おかあさん! おかあさん!」 私はありったけの声を張り上げた。 「なに? どうしたの!」 母も声を張り上げながら側に来ると、 「あなたはそこに居なさい! いいわね!」 電話で話している先は盲導犬の施設だとすぐ分かった。 私は小春にただならぬ事が起きていると分かっていたが、ただ彼女の名を呼ぶしかなかった。 獣医さんが来て小春を診ていたようだったが、すぐに連れて行かれた。 私は母に震える手を洗って貰いながら、怖くて小春の事を聞けなかった。 その夜は孤独で怖くて彼女が私を必死に呼んでいるようで一睡も出来ず瞼を腫らした。
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