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施設の担当者から呼ばれた。 病院の何処かの部屋に入ると彼女は直ぐに話し始めた。 鼻に掛かった声は泣いていた事を物語っていた。 私は気持ちをしっかり保たなければと自分に言い聞かせた。 「もうこれ以上いいと思います。 小春は頑張ってくれました。 もう苦しませたくはありません。 こんな事が起こるなんて... 私も初めての事で... どうしたらいいのか分かりません。 でも現実を受け止めて小春の事を考えるとそれしかないかと...」 彼女の声は震えていて湿った空気が漂った。 私より長く小春と生活して来た彼女の思いはどれほどのものか想像も出来ないけれど、小春は苦しくても私達と少しでも一緒にいたいんじゃないかと私は感じていた。 小春を逝かせる同意を求められたが明日まで待ってもらえるよう頼んだ。 それから小春の所に行き、いつもの様に耳の後ろから胸にかけて何度も撫でると小春は力なく前足を動かしながら私を凝視しているように感じた。 病院が終わるまで小春の側にいた。 ずっとこのまま一緒に居たかったけれど看護師さんがもうすぐ母が迎えに来ると伝えに来た。 家に帰っても小春の事が気がかりで夕食も喉を通らなかった。 部屋で母が作ってくれた小春の点字絵をなぞりながらそのまま寝てしまった。
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