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「おいおい、鯛のお頭付きとはまた派手なこったな」
苦笑ながらも嬉しそうに頭を掻いている。ふと、思い出したように周は瞳を見開いた。
「そういやあの時も赤飯が出てきたんだったな」
「あの時? なんだ、それは」
鐘崎が興味ありげに笑う。
「初めて冰を抱いた次の朝だ。朝飯に赤飯が出て、さすがに驚かされたもんだ」
まるで恥ずかしげもなくしれっとそんなことを言ってのけた周に、冰の方は大慌てだ。
「バ、バ、白龍ったら……」
皆んながいる前だというのによくもまあそんなに堂々と、と口をパクパクさせながら真っ赤になった頬を押さえている。そんな様子を横目に、
「冰君ってば相変わらずに可愛いんだからなぁ!」
紫月がクククと笑いを堪えている。
「そういや氷川、いろいろとご無沙汰だったろうからな?」
記憶を失くしていた間はさすがに夫婦の情も交わせなかっただろうと鐘崎が冷やかしながらニヤっと笑う。まるで今夜からは楽しみだなと言わんばかりの笑顔に、ますます赤面させられてしまう冰だった。
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