極道たちのクリスマスパーティー

2/41
前へ
/3000ページ
次へ
「最初はチョコレートか何かでケーキの上に描き付けていこうと思ってたんですけど、紫月さんのアイデアで型紙を作ってパウダーシュガーを振り掛けるといいってうかがったので、頑張って切り抜いてみました!」  そうなのだ。チョコレートで線を描いていくよりも綺麗に仕上がるのではないかと紫月が提案したのは本当なのだが、まさかここまで細かく型紙を切り抜いてくるとは思いもしなかったので、非常に驚かされたというところだった。 「いやぁ……それにしてもすげえ細かさだ。これってケーキの模様ってよりは芸術品じゃねえの! 氷川への大いなる愛を感じるなぁ!」  紫月が型紙を眺めながら感心しきりである。鐘崎組の厨房を預かる調理師たちも感嘆の溜め息を上げては冰を取り囲んでひとしきり展覧会的なひと時と相成ったのだった。 「――にしても、こんだけ切り抜くの大変だっただろう? すげえ時間掛かったんじゃねえ?」 「ええ。例の事件の後すぐに始めたから二週間くらいかな。社の方の仕事は白龍より俺の方が早く上がれたりするので、部屋に帰ってから毎日ちょっとずつですけど。でも真田さんも毎日見に来てくださってお茶を淹れてくれたり、応援してくださったんで何とか形になってよかったです!」
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6074人が本棚に入れています
本棚に追加