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その頃、周と鐘崎の二人は例の事件があった宝飾店へと顔を出していた。
地下の電気室が爆破されてしまったので、開店まではまだ時間が掛かりそうであったが、年明けの再オープンに向けてスタッフたちが準備に忙しくしていた。
二人が行くと支配人が飛んで出迎えて、先日の礼を述べたのだった。
「鐘崎様、周様、お陰様でお客様方にお怪我を負わせることもなく大事に至らずに済みました。本当に……何と御礼を申し上げてよいか……! ありがとうございました!」
「いえ、既に社長さんからも厚いご挨拶をいただいて、こちらの方が恐縮です」
鐘崎は穏やかに笑むと、早速に今日出向いた要件を支配人へと告げた。
「それで――例の物が出来上がったとのことでご連絡をいただいたのですが」
「はい、ご助力いただいた上にこのようなたいへん有り難いご注文までいただきまして、それこそ御礼の言葉もございません。本当にありがとうございます」
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