極道たちのクリスマスパーティー

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 チョコレートの方は冰である。丸い大きなスポンジ台をチョコ生クリームが覆っているシンプルなもので、それ以外には特に飾りなどはないが、台の上には白いパウダーで繊細な”白龍”の文様が見事に表現されている。冰が約半月ほどかけて毎晩切り抜いた型紙の龍である。  大きなスポンジの上をうねるように雄々しい龍が舞い踊り、その鱗の部分にはスライスした旬の苺が所々に飾られていて非常に美しいそれは、周の名の焔をイメージして冰が赤い苺を添えたのだそうだ。  そして、もうひとつは紫月が鐘崎の為にと試行錯誤したブルーベリームースのケーキである。甘いものが苦手な彼を思ってフルーツの酸味を効かせた台の上に生のブルーベリーが飾り付けてある。紫月曰く鐘崎のイメージであるブラックダイヤに見立てたのだという。それらを目にした瞬間、ボールルーム内は感嘆のどよめきに包まれた。
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