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その中の誰よりも感激の声を上げたのはむろんのこと周と鐘崎の旦那二人である。
「こいつはすげえ……!」
「ああ、本当にな……! ケーキというより芸術品だ」
上手い褒め言葉も詰まってしまうくらいに感激の面持ちでじっとケーキを見つめている。
「食っちまうのがもったいねえな」
「同感だ……! 三十年生きてて……嬉しいことも確かにたくさんあったが、こんな感動は体験したことがねえっていうか……な」
「その通りだな。上手く言葉にならんが、とにかく格別な気分だ――!」
想像以上に感激に浸る二人に、冰も紫月もくすぐったいような笑みを浮かべては、互いの肩を突き合いながら頬を染めている。
「喜んでくれるだろうなぁとは思ってたけどさ、まさか……ンなに感動してくれるとはさ」
「ホントですね! 俺、もっと軽ーいノリで即つまみ食いとかしそうっていう想像してたんで、何だかこっちが感動しちゃいました」
ケーキを焼いた当人たちにとっても意外なくらいの反応だったようだ。
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