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「これ、外側が餡子みたいだけど……中身は何だろう。どうやったらこんな綺麗な形のが作れるのかなぁ……」
冰がしきじき眺めていると、一番の年長者である源次郎が言った。
「梅の形のそれは練り切りといってね、おそらく中身まですべてが餡子だと思いますよ」
「……! そうなんですか。色もピンクでとっても綺麗ですね!」
餡子といえば黒か茶色を想像してしまうわけか、興味津々といった表情で源次郎の話に耳を傾けている。
「白餡をベースにして作られているんですね。こっちは求肥。ちょっとモチモチッとした食感が八ツ橋と似ているね」
「うわぁ、どれも美味しそうで迷っちゃいますね」
「雪吹さんは香港でお育ちになられたんでしたね?」
「はい、そうなんです。ですからこんな綺麗な和菓子を見るのは初めてで……」
感動がそのまま表情に出ているといった冰に、源次郎も瞳を細めながら微笑ましい思いでその様子を眺めていた。
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