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男たちの姫始め
香港からやって来た冰にとっては、日本で初めてとなる年の瀬である。
年始を迎えるに当たって一通りの飾り付けが済んだ後、皆は周家の応接室へと移動してティータイムを楽しんでいた。
この応接室は、周と冰が普段使っているダイニングとは廊下を挟んだ向かい側にある。客人の数によって使い分けられるようにと、大・中・小の三タイプがあり、今日はその内の”中”に当たる部屋に通されていた。室内の装飾は、大正浪漫を思わせるレトロな趣だ。
鐘崎が連れてきた源次郎と若い衆、そして紫月と冰の五人は部屋の中央に置かれた応接セットのテーブルを囲んで、それぞれ自己紹介がてら和気藹々とおしゃべりに花を咲かせていた。この日の茶菓子は純和風で、正月情緒がたっぷりの上生菓子がもてなされている。
「冰君、和菓子は珍しいんじゃねえか?」
紫月が問えば、冰も瞳を輝かせながらうなずいてみせる。
「はい! この前、京都の八ツ橋っていうのを初めて食べたんですが、とっても美味しかったです。今日のお菓子はまた初めて見るものばかりですが、すごい綺麗でビックリです!」
新春にふさわしい梅や椿など、和花を象った色鮮やかな菓子に目を見張る。
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