例えば、こんな休日

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例えば、こんな休日

午前8時、ピピピピと携帯のアラームが起床を促す。もそっと布団から出てきた手がベッドサイドに置かれた携帯を触りアラームを止める。 しかし丸まったふかふかの羽毛ぶとんはその後たっぷり30分は動かなかった。 だって今日は仕事も休み。温かい布団で二度目の睡眠を堪能したあと、一色はゆっくりとベッドから降りた。 ウォーターサーバーの水をコップに注いで薄いグレーのカーテンを開ける。陽の光が一色を包んだ。今日は快晴。気分も上がる。 コーヒーを淹れながらトーストを焼く。こんがりと焼けたトーストにアカシアの蜂蜜をかける。先日作ったカボチャプリンも添えて、一色は優雅な朝食にご満悦だった。 今日はベッドのシーツも洗濯をして、部屋の掃除して、久しぶりに街に出てぶらっとしたい。読みかけの本があったからブックカフェで読むのもいい。夕飯は手の込んだものにしよう、簡単な作り置きもしたい。 頭の中は今日の休みを有効に使うことでいっぱいだった。 朝食を食べ終えて食器を洗っているとテーブルに置いている携帯が震えた。 ちらりとそちらに視線を向けた一色はすぐに無表情になり手元に集中する。 一旦切れたものの間髪おかずに再び着信。それの繰り返し。こんな事をしてくる人間は一人しかいない。 「今日は休みです」 届かない一言を携帯に向かって放つ。その言葉を拾ったかのように着信がぴたり、と止んだ。 これ幸い、とばかりにいっそのこと携帯の電源を落としてしまおうと手に取った瞬間に再び携帯が鳴った。 しかしそれは予想していた人物ではなくて 「もしも「一色さぁーーん!助けてくださいーーーー!!!」 もしもしの声より先に聞こえたのは今にも泣きそうな大声。思わず携帯を耳から遠ざける。 「落ち着いてください、瀬崎くん。どうしました?」 嫌な予感しかしないが事情を聞くしかない。 一色は今日の予定が全て狂わされる予感にため息をついた。
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