引っ越しの準備中に

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引っ越しの準備中に

「え?」 何これ… 「誰?」 引っ越しの準備で掃除をしていると、クロゼットの中にあった埃を被った箱を見つけ、その箱を開けてみる。 その箱から出てものを手にし、開くと、アルバムだった。 そこに写っていたのは、私と母ではない女の子。 母と比べて、若々しく、大人にまだ、なりきれていない顔立ちで制服姿。 「誰…?この人…?」 記憶の中では覚えていない。 そこに、母が、 「今日は、夕飯、どうする?何が食べたい?」 母の呼ぶ声に振り向く。 私は、母を見てから、再び、そのアルバムに載った女の人を見る。 「…お母さん…」 母は大きな欠伸をしてこちらをみる。 「どうしたの?」 「…」 私は、母の顔をじっと見て、手にしているアルバムを指す。 「何?」 母は、私が指の辿ってそのアルバムをみる。 「…」 母の表情が、さっきまでとは違って、目を大きく見開くようにじっと見る。 「誰なの?」 「…え?」 「この女の子…」 「…」 「…」 空気がだんだん重くなっていく。 青ざめていく母の表情を見て、冗談で、 「あっ!もしかして!」 「…」 「お姉さんか!」 「…」 下を俯いていて、深刻そうな表情が続いている中、 「そうだよね!多分!そっか…そうだったね…」 必死になってる自分の口が止まらない。 「お姉さん、元気かな?ねえ」 笑ってみせる私に、 「…え?あなた…覚えてないの?」 口を開く母。 「え?違うの?」 「…」 さっきまでの空気と違い、重々しく母は口を開き続け、私にわかるようにゆっくりとゆっくりと話始めた。
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