1.かなり斜め上から社長の告白(笑顔でお断り)

3/16
前へ
/271ページ
次へ
  「キ・モ・い・で・す」(笑顔) 「そんな暴言吐くと、俺に嫌われちゃうぞ?」 「ご・じ・ゆ・う・に」(笑顔)  嫌ってくれた方が助かるし。  それより、これって何かの罰ゲームなのかしら。思わず冷ややかに社長を見つめた。 「紗那っ。あぁー、その冷たい眼差し、たまらんっ。好きだ! 仕方がないから俺がお前と付き合ってやる。有難く思え」  私は目の前の社長に、必要以上に冷徹に接した。 「それより社長、書類に早く印鑑を押してください」(笑顔)  溜まっているその社長の机の企画書諸々、書類に目を通してさっさと印鑑押してくれなきゃ私が困るのよ。月曜日で忙しいし。 「ハンコが欲しけりゃ、俺と付き合え」 「では、本日付で退職させていただきます」(笑顔) 「Oh,NO!」  社長はその端正な顔を、顔面崩壊するほどに歪めた。
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3194人が本棚に入れています
本棚に追加