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ごめんなさい、と珠ちゃんは今度こそ深く俯いてしまった。
「あ、責めている訳じゃないんだ。顔、上げてよ」
家に向かう路地の途中で、珠ちゃんの肩を抱き寄せた。もう、こうやって堂々とラブラブしても誰に文句を言われる事も無いし、俺も劣等感を感じる事は無かった。
「苦しい別れがあったからこそ、お互い気が付いた大切な事ってあるじゃん。俺、あのまま普通に珠ちゃんと別れずに付き合っていたら、ダメになっていたと思うんだよね。俺たち真面目だからさ、偽物の契約関係は、きちんと清算して一旦リセットする必要があったんだよ。ちゃんとした、本物の、何も後ろめたくない対等な関係になるために」
「周太君・・・・」
「これからは、今みたいに何でも言い合おう。遠慮しないで、思っている事全部。じゃないと、拗れちゃう。俺も遠慮しないから」
「うん。解った。そうする」
珠ちゃんが笑ってくれた。嬉しい。二人で仲良く父さんが待つ自宅を目指した。
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